「男の約束」は甘い言葉ほど危ないのよ
総合評価
★★★★★
監督 : 白石和彌
出演 : 蒼井優, 阿部サダヲ, 松坂桃李,竹野内豊
ジャンル : ドラマ,恋愛,サスペンス,ヒューマン
この映画をおすすめな人
- 純愛映画が観たい人
- どんでん返しのある作品が観たい人
- 思い切り泣きたい人
あらすじ
15歳年上の男・陣治と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎のことが忘れられずにいる女・十和子。
不潔で下品な陣治に嫌悪感を抱きながらも、彼の少ない稼ぎに頼って働きもせずに怠惰な毎日を過ごしていた。
ある日、十和子が出会ったのは、どこか黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島。
彼との情事に溺れる十和子は、刑事から黒崎が行方不明だと告げられる。
どれほど罵倒されても
「十和子のためだったら何でもできる」
と言い続ける陣治が執拗に自分を付け回していることを知った彼女は、黒崎の失踪に陣治が関わっていると疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯えはじめる――。
(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
良い点
- 阿部サダヲはじめ俳優陣の演技が素晴らしい
- 良い意味で結末に驚かされる
- 愛について考えさせられる
悪い点
- 男女の絡みが多くて観る場所と相手を選ぶ必要がある
- ハッピーエンドじゃない
- 内容が重い
感想
別れた恋人をいつまでも忘れられず奇行に走るメンヘラ女、十和子(蒼井優)。
そんな彼女を大切に扱う見た目が汚い労働者のおじさん、陣治(阿部サダヲ)。
メンヘラ女は汚いおじさんを奴隷のように扱い、奴隷はただひたすらに女王様に尽くす。
尽くすだけではなく女王様である十和子の行動を監視し自分から離れないように仕向けようとする陣治。
そんな陣治への当てつけのように浮気を繰り返す十和子。
これはいわゆる共依存関係なのか?
そのやり取りが延々と続いている間、見ているこちらはとても苦しくなる。
しかし話しは急展開していく。
その後の展開では別の苦しさで胸がつぶれそうになる。
「人を愛する」
とはこんなにも大きく、優しく、人を狂わせるのかと。
ここからネタバレありです↓↓↓
男も女も見た目が重要。
十和子が黒崎(竹野内豊)を忘れられないのは見た目がよかったから。
水島(松坂桃李)と関係を持ってしまったのも見た目が大きく作用している。
陣治が十和子に惹かれたのもおそらく見た目が好みだったから。
その見た目とは、包帯と眼帯姿をしていた十和子に対してある種のフェティシズムがあったのか、それともか弱き者を庇護したい父性が働いたのか。
個人的には美男子で中身もイケメン役が多い竹野内豊と松坂桃李がクソクズ野郎を演じており、それがドはまりしているのがよかった。
それが、対比として描かれる阿部サダヲ演じる、見た目が汚い王子様を際立たせる。
この三人三様の男達の「約束」が出てくる。
甘い言葉の約束
薄っぺらな嘘の約束
とても重く果たされる約束
美男子二人の嘘に何度も翻弄される十和子…
「男の約束」は甘いほど危ないのにね。
しかし最後の瞬間での汚い王子様の約束の言葉は、最高の愛の言葉なのか、それとも十和子の心に一生取れない染みを作った呪いの言葉なのか。
陣治もまた十和子という女を苦しめる男だったのか。
いや、それは深読みしすぎか?
そんな風に考えていると
「陣治。たったひとりの私の恋人」
ラストシーンの暗転後に聞こえる十和子の声で、失ってから気づいた愛を引きずって生きる姿を想像してしまいまた胸が苦しくなった。
「彼女がその名を知らない鳥たち」
の鳥たちはなんだったのだろう?
「愛」なのか
「男」なのか
私には解釈が難しかったがとにかく心に残る映画だった。
総合評価
総合評価
★★★★★
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