選択の余地なしに「宗教」に染まる宗教2世たちの苦悩
総合評価
★★★★★
この映画をおすすめな人
- 新興宗教について知りたい人
- 宗教2世の苦悩にふれたい
- 身内に宗教で悩んでいる人がいる
あらすじ
宗教2世。親が宗教を信仰している家の子供。宗教ありきで育てられ、世間とはずいぶん違う生活を送っています。
参加してはいけない学校行事があったり。
薬を使わせてもらえなかったり。
人を好きになってはいけなかったり。
休日は宗教活動のための日だったり。
もちろんそこに幸せを見出す人たちもいるけれど、中には成長するにつれて苦しさを感じる子供達がいることを、知ってほしい。
著者含む、7人の宗教2世たちが育ってきた家での出来事をマンガ化した作品が、加筆修正を加え、単行本化。
単行本描き下ろし45p収録。
「情報ライブ ミヤネ屋」でも紹介された、今年最注目のノンフィクションコミック!
(Googleブックスより)
良い点
- 宗教2世のドキュメンタリー
- 知らない世界に触れられる
- 人の心の悩みや葛藤を知ることができる
- マンガなので読みやすい
悪い点
- 感情移入してつらくなる
- 新興宗教に偏見を感じてしまうかもしれない
感想
さまざまな宗教のさまざまな家庭の子どもたちのオムニバスドラマ。
宗教2世の子どもたちは選択することなくその宗教の信者となり布教活動に携わることになる。
その見えざる苦悩と残酷な生い立ちにせまるのは自身も宗教2世である漫画家の菊池真理子さん。
苦しんだ過去が原動力となりこの作品が仕上がったのだと読んでいて感じました。
この作品には実際の宗教2世の人達からの聞き取りを元に作られています。
おそらくあの宗教だな…
と予想がつくものから、全く知らないものまで。
さまざまな宗教が出てきます。
宗教2世達の苦悩もさまざまでした。
○アトピー性皮膚炎なのに教義に反するからと薬を与えてもらえずどんどん悪化する人。
かゆみに身悶えする子どもを連れて教団へ行きお金を払ってお清めしてもらう。
当然アトピーは治らない…
○奉仕活動として見知らぬ人の家のインターホンを鳴らして勧誘員として活動させられる。
大人よりも話しを聞いてもらいやすいからと教団から重宝されるのだ。
奉仕活動は布教だけではなく農作業などもある。
教団内で功績を称えられることで自尊心をくすぐられてがんばってしまう宗教2世の子ども達…
○ゲームなどの娯楽は堕落の象徴として当然禁止。
それだけではなく修学旅行や運動会などにも参加させてもらえない。
悪魔の誘惑なのだそう…
読んでいてとてもつらい気持ちになるけれど、知らなければいけない。知ってよかった。
そんな気持ちになる作品でした。
そして恐ろしかったのはこの作品をウェブ連載していた時に宗教団体から圧力がかかったのだそう。
正義とは?心理とは?それは教義に反しないのか?
いろんなことを考えさせてもらえてほんとうに読んでよかったです。
安倍元首相が殺害された事件のすぐ後に発売されたこの本。
犯人とされた男は宗教2世でした。
そんな関係で世間の関心が予想を超えて集まったようです。
それまではまったく関心を持たれず議論の俎上にあがることは無かった「消えた存在」だったのに。
宗教は人を救うためのものではないのか?
救われないだけではなく、搾取され、思考をコントロールされ、憎しみに取り憑かれた人間を作ってしまう宗教とはなんなのだ?
とにかくおすすめです。
読んでみてください。
総合評価
総合評価
★★★★★
とにかく読みやすくて絵柄も好感が持てるので内容が頭に入りやすい。
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